2003年9月。このときワタシは友人のEKとともにニューヨークへ渡り、ニューヨーク・メッツの試合を2試合、ニューヨーク・ヤンキースの試合を1試合それぞれ観戦している。
特にキョーレツだったのが9月5日に行ったヤンキー・スタジアムだ。
当日の相手はヤンキースの宿敵というか怨敵ボストン・レッドソックス。超人気カードだったため、ワタシたちが席を確保できたのはレフトスタンドの中段だった。
試合前、レフトスタンド前にあるブルペンで投げていたのは、この日のレッドソックスの先発ペドロ・マルティネス。ヤンキースファンにとっては目の敵でしかない存在だ。
そんなマルティネスにヤンキースファンが浴びせていたのが「Pedro s〇ck!!」の大合唱。しかし、マルティネスはどこ吹く風。このくらいの強心臓じゃないと強豪のスタメンに入れないんだろうなぁ…。
結局、ヤンキースファンはブルペン近くのスタンドから散らされることに。その役目はガードマンではなく警察官。アメリカの球場では警察官がガードマンとして立っていることが多い。腰にはもちろん拳銃を提げている。
しかし、ヤンキースファンもしぶとい。最後に1人のファンが強気にもマルティネスにひと際大きな罵声を浴びせると、それを注意した警察官にまで暴言を…。そのファンはさっと逃げ出し、警察官に追いかけられていた。拳銃をぶら下げた警察官に。
試合が始まってもレフトスタンドの混乱は止まらない。
なお、この年は松井秀喜のヤンキース1年目ということもあってか、ワタシたちの他にも日本人が4人いた。
ひと組は新婚と思しきカップルで、もうひと組はサラリーマン2人組。この方たちは試合前の混沌を見ておらず、いかにもワクワクしている感じがこちらにも伝わってきた。
しかし、試合が始まるとレフトスタンドは再び混沌の坩堝に。
いきなり上のほうの席から下りてきたかと思うと、ズボンを下ろしてブツをさらし、仲間に取り押さえられる兄ちゃん。
ビールを飲みすぎて席で戻してしまう女性もいて、こちらにまですっぱい臭いが漂ってきた。
この日の試合はヤンキース先発のアンディ・ペティットが初回から失点し、一方的な展開に。
そうなると敵地に乗り込んできたレッドソックスファンの勢いは止まらない。止まらないはずが、ヤンキースファンの友人に肩を抱かれ、「お前ら、何年優勝してないんだよ。うちらは26回だぞ」と言われてしまいシュン…。そりゃ、2003年の時点で1918年以来優勝してないけど、傷に塩をすり込むようなこと言わんでも!
これだけでは終わらない。
やがてレフトスタンドのファンが総立ちになる。なぜなら、スタンド上段でヤンキースファンとレッドソックスファンのケンカがおっぱじまったからだ。
すぐさま警察官が駆けつけ、ケンカをしていた連中が連行されていく。
捕まったヤンキースファンは警察官に挟まれて連れていかれる際にガッツポーズ! それに対してヤンキースファンは大歓声!! ただし、彼の手首にはワッパがキラリ…。
一方、ケンカ相手のレッドソックスファンには四方八方からポップコーンを浴びせる洗礼が! おいおい、ポップコーンが連行してる警察官にも当たってますって!
一方のライトスタンドはヤンキースが反撃すると一体となって盛り上がってるというのに…。
最後まで残ったワタシたちはポップコーンをポリポリ食べながらのんびりと観戦。このとき、ワタシが背負っていたのはチームの低迷期を支えたドン・マッティングリーの永久欠番「23」で、EKはヤンキースの大黒柱ロジャー・クレメンスの「22」。こんな日本人はなかなかいないだろう。
そのせいか、7回にヤンキースが少ーしだけ反撃したときには、近くのヤンキースファンにハイタッチを求められてしまった。
ちなみに試合が終盤に差しかかった頃、ワタシたちの近くにいた日本人は消えていた
その後、ヤンキー・スタジアムは2009年に新球場ができたため、当時の雰囲気が現在のレフトスタンドに残っているかはわからない。
ただ、いつかはまたあの熱狂の中に身を置きたいなぁ…とは思っている。試合内容を覚えていられる余裕はほとんどございませんがね!
(お出かけ日:2003年9月2日~9月7日)
※敬称略させていただきます。