長泉寺
■住所:埼玉県秩父市荒川上田野
557
■駐車場:あり
■電話:0494-54-1106
【御朱印受付 基本情報】
■受付時間:8:00~17:00
※11月~2月は16:00まで
※12:00~12:30は昼休憩
■定休日:なし
■御朱印料:500円
※2巡目以降は200円
日本でも有数の「石札」が残っていることから、「石札堂」や「石札道場」とも呼ばれている寺院。開山は平安時代中期の正暦元年(990)とされる。元亀2年(1571)、現在の皆野町にある大通院から和尚を招き、曹洞宗の寺院としての面目を得ることができた。もともとは現在の場所より500mほど南にある笹戸山の山頂近くに前面懸崖造りの観音堂があったといわれているが、江戸時代初期に焼失。崖崩れもあって再建が困難なことから現在の位置に観音堂が建立された。その後も文化元年(1804)に火災に遭い、再建されて現在に至る。本尊は高さ55cmの聖観世音菩薩。他にも葛飾北斎の筆納額である「桜花の図」、洛東山の香炉、地獄極楽の絵草紙、徳川将軍の奉納品といった寺宝が所蔵されている。
Kとの秩父札所巡りで15番目に訪れたお寺。
秩父市街から国道140号を使って向かう場合、西武鉄道・西武秩父線の踏切を渡ってしばらく進むと「長泉院」の看板が見えてくる。その角を南に曲がると、すぐに「長泉院」の駐車場にたどり着く。
「長泉院」は駐車場から歩いて数分。距離にして200mほどで、入り口の看板も見えるので迷うことはないはずだ。
「長泉院」は境内の入り口に山門はない。その代わりに地蔵や石碑が並んでいる。
向かって左側にあるのが「笹戸山 石札道場」の石碑。これは秩父札所を開創したとされる性空上人たち十三権者が、文暦元年(1234)に秩父巡礼をした際に石札を納めたため、このような名称がついた。
また、入り口にはお寺の目印ともいえる、しだれ桜がしっかりと根ざしている。こちらは「よみがえりの一本桜」という名がついており、遠くからでもその枝ぶりの見事さが伝わってくるほどだ。
ただ、ワタシたちが訪れたのは12月。見頃の時季に来ていたならば…とちょっと悔しくなってしまった。
境内に入って驚かされるのがその広さ。さらに、さまざまな花木が植えられ、きれいに手入れされた庭が目に飛び込んでくる。まるで和風の庭園を歩いているようだ。
観音堂に向かう間に枯山水や苔むした道などもあり、さまざまな風景を楽しませてくれる。
時季的にワタシたちが見られた色合いはマンリョウの赤い実のみ。花々が咲く時季ならば、さぞきれいなんだろうなぁ…と思うが、これは仕方ない。
それでもゆっくり回って、かかった時間は30分以上。それだけ楽しめる空間だった。
左右に広がる入母屋造りの観音堂は正面に石札が祀られている。
また、天井は千社札が貼ってあるように見えるよう、文字を彫って黒漆を施した装飾天井になっているのも特徴。回廊には奪衣婆が鎮座する小さなお堂や、達磨大師などが描かれた石が並んでいる。
「常楽寺」の記事で書いたが、秩父札所巡りを始めてからガラスの引き戸を見かける機会が多くなった。昔ながらでワタシは好きだ。
「長泉院」にはこんな昔話が残っている。
あるとき、山のふもとに龍女が現れて不思議な明かりを灯すようになった。
これを村人たちが気味悪がっていると、十数人の巡礼僧(秩父札所の開創者である十三権者)が村に立ち寄ったので、村人は明かりが灯る岩屋まで巡礼僧たちを案内することに。
すると、そこにあったのは聖観音像。これ以降、村人たちは岩屋に堂宇を建てて聖観世音菩薩を安置したという。
今回、「長泉院」を訪れて思ったのは、季節ごとの花も考慮に入れて行く先を考えるべきなんだろうなぁ…ということだった。これはKも話していたことだ。
「歴史」だけでなく「季節」といった要素もあらかじめ調べてお寺に行けば、より一層楽しめると痛感した。
まもなく34か所の折り返し地点というところで、まだまだ自分の勉強不足に気づくワタシ。札所巡りはなんとも奥が深い。
< 「秩父札所28番 橋立堂」へ
「秩父札所30番 法雲寺」へ >
「秩父札所34観音霊場」一覧 >
(お出かけ日:2024年12月30日)
※施設情報は2025年1月時点のものです。