久昌寺
■住所:埼玉県秩父市久那2315
■駐車場:あり
■電話:0494-23-7309
【御朱印受付 基本情報】
■受付時間:8:00~17:00
※11月~2月は16:00まで
※12:00~12:30は昼休憩
■定休日:なし
■御朱印料:500円
※2巡目以降は200円
秩父札所を開創したとされる十三権者の1人である性空上人にまつわる言い伝えから、「御手判寺」とも呼ばれている寺院。性空上人が閻魔大王から証文と石造りの「手判(手形石)」を授かったといわれ、秩父巡拝の際に手判をこの寺に納めたという。なお、証文は西国札所24番・中山寺に納めている。享保6年(1721)に建立された方形造りの観音堂は3間(約5.5m)四面で、堂内には宮殿形の厨子を安置。本尊である聖観世音菩薩の立像は一木造りで、室町時代の作とされる。
Kとの秩父札所巡りで16番目に訪れたお寺。
秩父市街からだと荒川を渡り、埼玉県道72号 秩父荒川線から民家の点在する地域を抜けて山のほうへ入ったところにある。
「久昌寺」は一風変わった配置になっているのが特徴だ。
駐車場に車を停めると、まず見えてくるのが朱塗りの仁王門。「御手判寺」の扁額が掲げられた仁王門が道路に挟まれたような形で立ち、この仁王門をくぐると道路が合流するところに出る。
さらに、そこから片側に斜面のある道路を歩いて観音堂を目指すようになっていて、仁王門のある一帯は周囲とはちょっと時の流れがずれているような、不思議な雰囲気を醸し出していた。
仁王門をくぐって少し歩くと、左側に石段が見えてくる。
この石段の先にあるのが観音堂だ。仁王門から観音堂の石段までは歩いて1分ほどで、道も1本なので迷うことはない。
石段の上はちょっとした広場のようになっていて、その奥に観音堂がある。岩壁の奥に佇んでいるような趣きだ。
観音堂の左手前には手水舎や地蔵堂があり、どちらもかなり古びた様子だ。他にも真新しい石灯籠だけでなく崩れたままの石灯籠をちらほらと見かける。
手水舎や地蔵堂の背後は低いながらも切り立った崖になっていて、ちょっと寂しい空気が漂っていた。
観音堂から納経所のある本堂までは、緩やかな坂を上って数分ほど。
本堂の境内入り口付近からは、「久昌寺」の東側にそびえる武甲山が望める。武甲山は見る位置によって表情が変わるので面白い。
斜面の南側に立つ本堂は岩壁のそばにある観音堂とは違い、日差しが降り注いでワタシたちが訪れた年末でも暖かかった。境内は手入れが行き届き、田舎ののどかな山寺といった印象だ。
ちなみに、秩父札所で本堂と観音堂が分かれているお寺は珍しい。これまでワタシが訪れた16の札所(2024年12月時点)の中では、こちらの「久昌寺」と3番札所「常泉寺」の2か所。
ちなみに、横に向かってのびやかな感じのある本堂には、阿弥陀如来が祀られている。
「久昌寺」には本堂と観音堂の間に大きめの弁天池があるのだが、ワタシたちが訪れたときは工事中で、池の水が抜かれていた。観音堂のそばで工事をしていたのを見て、ちょっと悪い予感がしたんですよ…。
その昔、「久昌寺」のあたりに悪行を重ねて、身重でありながら家族や村人から追い出された女性がいたという。
その女性は鬼女となって久那の岩屋で暮らしていたが、そこで女の子を出産。ただ、女の子が15歳のときに過去の悪行が祟って母親は亡くなってしまう。
女の子が母の死を悲しんでいると、ある女性が現れて、母親は地獄に落ちているから観音の御名を唱えて祈念するよう助言。続いて訪れた旅僧が女の子から相談を受けると、この僧が村人に女の子の事情を告げ、僧が所持していた観音像を本尊として堂宇を建てて鬼女の菩提を弔ったという。
「久昌寺」では御朱印のほか、ワタシとしてはいただきたいものがもうひとつあった。それは性空上人が閻魔大王から授かったという「御手判」を版刷りした刷り物だ。これを持っていれば、あの世で閻魔の庁も無事に通過させてもらえるのだとか。
弁天池が工事中で見られなかったのは残念だが、他にも「久昌寺」ならではの魅力とたくさん出会うことができたし、お寺の方もとても親切だった。
この方が物腰がなんとも優しくて、笑顔も柔和で、どこかで見たことがあるような気が…。
御朱印を書いていただいたあと、お手判の刷り物について非常にわかりやすく説明していただいた。
このとき、ワタシは話を聞いていたので気づかなかったのだが、駐車場に向かう際にKから「あの人、マッツ・ミケルセンに似てなかった?」という言葉が…。そうだ! 「北欧の至宝」という異名を持つ俳優のマッツ・ミケルセンだ!! このあと、ワタシたちの間で「秩父のマッツ」について盛り上がったのは言うまでもない。
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(お出かけ日:2024年12月30日)
※敬称略させていただきます。
※施設情報は2025年1月時点のものです。