まもなく15時半という時間帯に「秩父珍石館」の見学が終了。
本日のお宿である「民宿すぎの子」にチェックインするには、ちょうどいい頃合いだった。
というわけで以後は寄り道せず、いのしし鍋の待つ「民宿すぎの子」へ!
築300年の藁葺き古民家に泊まれるなんて!
「民宿すぎの子」は秩父市街から国道140号を西に向かって進み、浦山ダムが見える地域をちょっと過ぎたあたりにある。
国道140号沿いにお宿の看板があるが、道を挟んで向かいに秩父市役所 荒川総合支所や秩父消防署南分署があるので、こちらを目印にしてもいいだろう。
「民宿すぎの子」ではご主人が独学で藁の葺き替え技術を習得して手入れをしているという。今ではなかなか見られない藁葺き屋根は本当にきれいで、なんだかワクワクしてしまった。
【民宿すぎの子】基本情報
民宿すぎの子
■住所:埼玉県秩父市荒川上田野
1743-1
■宿泊費:
1泊2食つき 1人 8,000円~
素泊まり 1人 7,000円~
※税込価格 ※宿のサイト調べ
※宿泊は2人から ※子ども料金あり
■部屋数:和室5室
■温泉:鉱泉あり
■駐車場:あり
■電話:0494-54-0963
■ホームページ:民宿すぎの子
駐車場は国道沿いにあり、藁葺きの古民家の裏側に位置する。駐車場からは古民家の横を通り、現代風の建物の間を抜けるとお宿の玄関に着く。
駐車場から玄関へ向かう途中、昔ながらの縁側を見たワタシは「おお、まさに古民家だ!」と興奮してしまい、慌てて写真を撮ろうとする。そこでKから「荷物を持ってるし、寒いんだから明日にしなよ」と冷静なツッコミが。確かにそのとおりですな…。
合掌造りで築300年という藁葺き屋根の古民家は、もともとこの地域の庄屋の家だったという。
こちらのお宿は古民家に客室が5つあり、フロントやお風呂、厨房などのほか、団体で食事をする大広間はすべて現代風の建物(仮に別棟としておく)に固まっている。
別棟でチェックインをすませ、ワタシたちはお宿のおかみさんの案内で古民家へ。
ちなみに別棟のほうも昔ながらの和風の旅館といった趣きがあった。
短い渡り廊下のところまで来ると、すぐ目の前に古民家の縁側が見える。
さらに古民家の中へ入ると、もともと入り口だった土間へと続き、そのそばには囲炉裏の間や2階へと続く階段がある。このあたりまで来ると、時の流れを超えたような感覚に陥ってしまった。
築300年という古民家だけに柱や梁がとにかく古いし、昔ながらの間取りがそのまま残されている。これだけ古い建物が今でも現役として活躍しているのだから、しっかりとした良質の建材が使われているのだろう。
ワタシたちが通されたのは2階の12畳の間。部屋は長方形ではなく、上から見るとちょっと段差があるような形になっているが、さほど気にならなかった。
部屋にある設備はコタツ、テレビ、ファンヒーターくらいで至ってシンプル。食事は基本的にこちらの部屋で摂るようになっている。
注目、というかKがえらく気に入っていたのが半纏だ。
冬になるとワタシは家でいつも着ているので当たり前のように羽織っていたが、Kはそのあったかさに「いつか半纏を作りたいなぁ」と言っていたほどだった。
ちなみに「民宿すぎの子」では布団は自分たちで敷くのがルール。Kは布団の扱いに慣れていて、「もっとシーツをピンと張って!」といった感じで叱られながら敷きました…。
秩父の山の幸がズラリと食卓に!
18時からはお楽しみの夕食!
いのしし鍋を中心にイワタケの天ぷらやヤマメの甘露煮、手打ちそば蕎麦など、山の幸をふんだんに使った手作り料理がコタツの上に並んでいく。
ご主人とおかみさんはこれだけの食事をお盆に載せ、あの急な階段を上ってきたはずだ。
普段からやり慣れているだろうとはいえ、荷物を抱えてちょっと苦労しながら上ったワタシとしては感心するばかりだった。
食事を並べていただいているとき、秩父では雪がどの程度積もり、いつ頃がピークなのかワタシがご主人に質問。ここ数年で雪の降り方が変わってきたという話は興味深かった。
いのしし鍋はイノシシ肉だけでなくキノコをはじめとした野菜もたっぷり。味噌の味が染み込んで、しっかりとした味わいだった。最後はもちろん残った出汁で雑炊を満喫する。
ご主人が2000m級の山々から採取してきたイワタケの天ぷらは歯応えがあった。味はクセがなく、キノコと海藻類を合わせたようなものを食べているような感じだ。
今回、Kはいのしし鍋だけでなく山芋のとろろも楽しみにしていたようだ。
秩父までの道中に「まずとろろをごはんに半分かけて食べる! 次に残りの半分をお蕎麦と一緒に食べる! これが今回最大の使命だから!!」と息巻いていて、夕食時には粘りのあるとろろをしっかりと堪能。ワタシもそれを真似させていただきました。
焼いたイワナを熱い日本酒の入った器に丸ごと浸す骨酒は香りがよく、ある程度飲んだところで試しにイワナの身を崩していただく。すると今度はイワナの味わいが広がり、ひと味違ったお酒になった。
こちらの骨酒を器に注ぐとき、ワタシがお酒をほんのちょっとだけこぼしてしまう。それをチェックしていたKから、すぐさまお叱りの言葉が飛んだのは言うまでもないことだ。
骨酒は2合で1,500円と別料金だが、これだけの料理が並んで1人1泊8,000円。これだけお得なお値段なら、次はお酒の肴代わりにお鍋を1人前増やしてもいいかもしれない…Kとはそんな話をしていた。
「民宿すぎの子」を定宿にしたい!
食後は「酒づくりの森」で購入した生貯蔵酒3本セットを飲み比べ。ワタシとしては喉越しが滑らかながら、胃の腑がほわっと温かくなる吟醸酒が好みで、Kは純米酒がよかったとか。
21時頃までのんびりし、そのあとはお風呂へ。
「民宿すぎの子」は別棟に鉱泉の檜風呂が2つあり、浴場の貸し切りはできないが鍵をかけられるようになっている。
夜になってかなり冷え込んできていたが、こちらの鉱泉で十分に体が温まった。
これはワタシの感想だが、22時までのお風呂は20時過ぎあたりからちょっと混むように思えた。可能であれば20時~22時の時間帯は避けたほうがいいかもしれない。
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入浴後は25時までおしゃべりをして、翌30日は7時に起床。
冬の秩父は朝の冷え込みがかなりきつく、古民家ということもあって目覚めたときの室内はかなり寒かった。ワタシたちは寝る直前までファンヒーターをつけていたが、タイマーをセットしてから寝たほうがよかったかもしれない。
ただ、半纏を着たまま布団にくるまっていると布団の中はポカポカで、Kは半纏と西川の布団の威力に感心しきりだった。
10時にチェックアウトする際、ご主人に周辺の秩父札所について教えていただく。32番札所「法性寺」は難所があり、冬場は危険とのことでこの日は回避。代わりに見どころの多い16番札所「西光寺」を勧めていただき、この日の札所巡りに加えることにする。
廊下の足音や隣の部屋の音が聞こえる、冬は室内がちょっと寒いなど、古民家だけに現代の生活に慣れてしまった人には不便を感じる部分があるかもしれない。
しかし、「民宿すぎの子」にはそれが気にならないくらいの喜びがたくさん詰まっているし、お宿の方々も気さくで優しい。Kは「おばあちゃんちに来たみたい」と大満足だった。
ワタシは今回の旅で秩父の定宿を見つけた、と思った。
「年末は秩父の古民家で in 埼玉」一覧
①【手打そば 田中屋】舞茸の天ぷらを堪能!
②【秩父錦 酒づくりの森】酒造資料館で日本酒の魅力を再確認!
③【秩父珍石館】某テレビ番組の人面石くんがここに!
④【民宿すぎの子】激安価格でお鍋が味わえる!
⑤【秩父札所巡り】地獄の沙汰も御手判次第!?
(お出かけ日:2024年12月29日~12月30日)
※施設情報は2025年1月時点のものです。