「クマ食べたい! in 埼玉&群馬①「三峯神社」~秩父の奥のパワースポット~」からのつづき
この日のお宿「民宿旅館 不二野家」(以下、「不二野家」)があるのは群馬県の上野村。
「三峯神社」から「不二野家」へ向かう際、国道140号から埼玉県道43号 皆野荒川線に入って北上し、国道299号にぶつかったらそのまま群馬方面へ…というルートをとることに。
ただ、事前に調べたところによると国道299号がかなりの山道だという情報が…。
Kは大丈夫と言っているものの、小雨が降ってきたこともあって、さすがに心配になってくる。
…なんて書いてますが、結果的に埼玉県道43号のほうが道が細く、Kが運転しづらそうな印象だった。
逆に国道299号は区間によっては道がクネクネしているところがあったものの、全体的には谷間を抜けていくような感じで、こちらのほうが明らかにKの運転には余裕が。
個人的には小雨のなか、カッパを着込んでチャリンコで山道を上っていく青年のほうが心配になってました。途中で見かけたあの青年は目的地まで無事着けたんだろうか…。
ご主人、ご機嫌がよさそうですね
「三峯神社」を出発してから2時間半ほど。
今晩のお宿である「不二野家」には17時半頃に到着。
国道462号を走っていて、神流川を渡ったところに看板があったので、お宿はすぐに見つかった。
民宿旅館 不二野家
■住所:群馬県多野郡上野村
川和134
■宿泊費:1室2名以上
大人(中学生以上)2食つき
8,250円
子ども 2食つき 6,600円
※税込価格 ※宿のサイト調べ
■部屋数:和室20室
■温泉:なし
■駐車場:あり
■電話:0274-59-2379
宿探しの際に得た情報によると、「不二野家」のご主人は現役の猟師らしい。
このご主人がなかなか個性のある方なのだとか。
Kとともにどんな方なんだろうなんて思っていると…。
お宿の入り口のそばにある部屋には、コンビニで見かけるようなガラス扉の大きな冷蔵庫が設置されていて、中にはお酒やジュースなどがずらり。
さらに、その前のテーブルにはお客さんと楽しそうに話している、顔がほんのり赤いおっちゃんが…。
「あら、もう飲んでるのね」なんて思いつつ声をかけてみたところ、このおっちゃんが「不二野家」のご主人だった。
顔は赤くてもさほど酔っ払った様子はなく、陽気で気さくなご主人に言われるまま宿帳に名前や住所などを記入。続いて部屋に案内してもらう。
ただ、このときご主人はワタシたちに説明し忘れていたことがあったとのちのち判明。
ご主人はやっぱりちょいと酔っていたようだ…。
部屋は小綺麗で畳もまだ新しい。確か8畳ほどで、2人で過ごすには十分な広さだ。
さらに、床の間には掛け軸だけでなくキジの剥製まで。テレビと比べてみるとなかなかにデカい。
建物は新しいが、置かれている家具は年季の入ったものも意外と見かけた。
もしかしたら建物を建て直したか、改装したのかもしれない。
現役の猟師さんに逆らう気なんてございません!
そして18時頃、フロントから食事が用意できたという連絡が。ついにお楽しみの晩ごはんですよ!
予約の際、追加のジビエをお願いしておいたので、どんなお肉が出てくるのかワクワクしながら食事処に向かうと、そこから賑やかな笑い声が聞こえてくるじゃないですか。
食事処に入るとおっちゃんたちのグループがいて、その中には明らかに酔っているご主人も…。
ワタシたちはご主人に促されるままテーブルに着き、さあ食べようとしたところで、他のテーブルの食事を運んできたおかみさんが登場し、あることに気づいてご主人を叱る。
どうやらご主人はワタシたちを、ジビエが多めに用意されたワタシたち用のテーブルではなく、他のお客さんのテーブルに案内していたようだ…。
そこで改めてワタシたちのテーブルが用意されることになり、部屋に戻ってしばらく待機。
改めて料理が調ったところで、おかみさんがわざわざ呼びに来てくれる。
このとき、部屋の鍵のちょっと特殊なかけ方を教えてくれた。
「あら、教えてもらってなかったの? しょうがないおっちゃんよねぇ」とおかみさんは苦笑い。
気を取り直して食事処に向かってテーブルに座ると、そこには焼いた川魚やジビエを使っていると思しき揚げ物、野菜ソムリエのおかみさんが育てた野菜を使った小鉢料理、こだわりの手作りうどんなど、さまざまな料理がズラリ!
もちろんジビエもありますよ!!
写真ではそう見えないかもしれないが、テーブルが広いだけで、かなりのボリュームなんですよ。
どれから箸をつけるか迷ってしまうなぁ…。
…と、そこへおっちゃんグループにいたはずのご主人がワタシたちのテーブルへ。
ワタシの横で正座したのでどうしたのかと思っていると、「クマの肉を食べるときは…」と食べ方の細かいレクチャーを始めるではありませんか。
ワタシたちにご主人のレクチャーを聞かないという選択肢はない。なんてったって現役の猟師さんですから、おいしい食べ方をよく知っているだろうし、逆らうと怖そうなんですもの…。
ジビエやうどんのラップが取り去られていないのは、ご主人のレクチャーを聞くのを優先して、ラップを取った状態の写真を撮る余裕がなかったからなんですよ。
その後、いったんご主人がワタシたちのテーブルから離れて、おっちゃんグループに合流。
聞こえてくる話によると、どうやら賑やかなおっちゃんたちのグループはご主人の同級生で、今日は「不二野家」で同窓会をしているようだ。
一方、ワタシたちはゆっくり食べられるかな…なんて思っていたら、再びご主人が接近!
「そこにシカの肉をのせて…」と食べ方のレクチャーが再開され、ワタシたちはご主人の言われるがままにジビエを平らげることになってしまいました…。
ちなみに、食事処にはワタシたちと同窓会グループのほか、お宿の近くにある施設で働いていると思しき、某企業の4人組もいた。
ただ、こちらはなぜかまったく盛り上がっていないうえ、ジビエに手をつける様子もなし。
何かしらの事情があるのだと思うが、なんとももったいない話だ。
ラップさえ外されないジビエを横目に眺めつつ、ワタシとKは残った自分たちのおかずをつまみに、日本酒をちびちびと飲むのであった…。
その後、ワタシたちが部屋に帰ったあともおっちゃんたちの同窓会は大盛り上がり。
ギターまで持ち出して楽しそうに歌っておりました。
クマを一発で仕留めた男!!
そして翌朝。
「不二野家」の朝食はバイキング形式になっていて、各自が時間内に集まっていただく。
卵をその場で焼くこともできて、旅館としてはちょっと珍しいスタイルだと思った。
とはいえ、好きなものを選べるのはとてもありがたい。
チェックアウトのとき、おかみさんに「昨日の夕食はすみませんでしたねぇ。しょうがないおっちゃんで…」と謝られてしまう。
そこからご主人の話になり、仕留めたクマの写真を見せていただいたうえ、ご主人が死にかけたというエピソードも教えていただく。
それによると…。
目の前に…クマがいる。
もう逃げられん。
おまけに、手にした猟銃の弾は残り一発だ。
無線で弾を持ってくるよう、仲間に支援を求めるか。
いや、もうそんな暇はない!
ここは覚悟を決めて撃つしかない!!
――――やったっ! クマの額を撃ち抜いたぞ!!
「おっちゃんの言うことだから、ウソかホントか知りませんけどねぇ」とおかみさんはほがらかに笑っていた。
いつか機会があったら、ご主人から直接聞いてみたいなぁ。
あとでKも「おっちゃんの勢いに呑まれてどこに入ったのかわからん! 次は『ジビエの食べ方、知ってますから』って絶対に言うわ!! そして量も増やしてもらって、もっとたくさん食べる!」って息巻いてたし。
その意気や、よし! もちろんワタシもですよ! K、まるでランバ・ラルに勝ちたいとつぶやくアムロ・レイみたいだな、なんて思いもしましたけどね。
さて、天気もいいし、まずは「不二洞」に行きますか!
「クマ食べたい! in 埼玉&群馬③「不二洞」~そばにはスカイブリッジも!~」へつづく
(お出かけ日:2024年4月27日~4月28日)
※施設情報は2024年9月時点のものです。