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あの人は流れ星のように… in マイアミ②

MLB観戦記
球場外の大型ディスプレイの映像
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あの人は流れ星のように… in マイアミ①」からのつづき

9月26日。
昨夜は24:00過ぎにちょっと起きたものの、その後は寝られて6:00に起床し、ドーナッツとカップヌードルで朝食。
外はまだ薄暗く、7:00になってからようやく明るくなってくる。
8:00頃にマーリンズ・パークの位置の確認を兼ねて散歩へ。

海外でまさかのインタビュー!?

ホテルから球場までは歩いて約1時間。
リトルハバナを西から東へ突っ切る形だ。
途中、グラフィティアートのほか、窓や入り口に鉄格子のはまった店舗を数多く見かける。
もしかしたら、このあたりはあまり治安がよくないのかもしれない。
ちなみに、昨日見かけたカジノは誰もおらず、しんと静まり返っていた。
広い駐車場の奥にポツンと建つカジノの建物がやけに寂しく見える。

マーリンズ・パークに着いてからは、選手入り口の目星をつけるためにまずは球場の周囲を1周。
選手入り口の位置を知っておくことは、入り待ちや出待ちをするうえでとても重要なもので。

メジャーリーグの球場に来るといつも思うが、とにかく大きいし敷地自体も広い。
遠くに球場が見えてきて、近づいていくときのワクワク感は2002年に初めて渡米したときからまったく変わっていない。

球場でまず目についたのが、ビジョンに映し出されたフェルナンデスの名と背番号。
ただそれだけだが、今は静かにその死を悼んでいるかのようだった。
また、巨大幕にはパッジ(イバン・ロドリゲス)やジャック・マッキーン監督などチームの黄金期を支えた選手や監督の姿が。こういうのって歴史を大切にしている感じがして好きだ。

球場の一角には数多くの花束だけでなく、メッセージがそえられたキャップやTシャツなどがフェルナンデスに捧げられているエリアがあった。
まずはこの場で黙とう。

9:00ぐらいにもかかわらず、ここには数多くのファンだけでなくテレビ局のスタッフが。
ワタシが黙とうする姿をカメラマンに撮影されただけでなく、女性のレポーターからインタビューされそうになってしまった。
このときは「英語があまりしゃべれないので…」と断ったが、自分でも不思議なくらい英語が出た。

次から次へとイベントが! 怒濤の展開にホテルへ戻る余裕なし

このあとベンチに腰かけてひと息ついていると、Tさんという日本人に声をかけられる。
Tさんによると、球場の北側にマーリンズ関係者専用の駐車場と球場入り口があるのだとか。

Tさんとともにそのエリアに向かってみると、泣きながら1人佇んでいる日本人女性がいた。
この女性はマイアミで暮らすJさんといい、大のフェルナンデスファンなのだとか。Jさんの手には「必勝JOSE」と記された大きな自作のボードがあった。
Jさんはワタシたちに、ナイターの際に選手が球場にやってくる時間帯を教えてくれた。これは非常に貴重な情報だ。

JさんやTさんと話をしていると、一番早く球場にやってきたのがドン・マッティングリー監督。
マッティングリーはJさんのボードに気づくと、涙を流すJさんを慰めるようにそっとハグ…。
ワタシとTさんにはサインをしてくれた。

このあと、選手たちが続々と球場へ。
ただ、時が時だけに「サインください!」と声をかけづらい。
それでもチームのリードオフマンを務めるディー・ゴードンは球場に入りかけていたにもかかわらず、わざわざ戻ってきてサインに応じてくれた。

また、Jさんのボードを見て、いろいろ話しかけてきた地元のおばちゃんも。
「ホゼはロベルト・クレメンテ1と同じになってしまったわね…」
おばちゃんはそう涙ぐんでいた。

ほとんどの選手が球場入りした頃には、ファンの姿もちらほら。
Jさんの知り合いで、マイアミで暮らすAさんだけではない。この日は他にも日本人が多かった。
ここでいろいろな人たちとマイアミやマーリンズの話で盛り上がる。

Jさんによると、マイアミには日本人が1000人ほど暮らしているそうで、イチロー効果で町を訪れる日本人が増えたのだという。
「マイアミでは気をつけてくださいね。何かあったら命懸けですから」
事件にはかなりの割合で拳銃が絡んでいるのだとか。恐ろしい話だ。

フェルナンデスの大ファンだけに、Jさんは彼の思い出話も教えてくれた。
フェルナンデスがキューバから亡命してくるときのエピソードだ。
自分たちが乗ったボートから誰かが落ちたのを見たフェルナンデスは思わず海に飛び込み、その人を救出してみると…なんと自分のお母さんだったとか。
「ホゼは優しくて、子どもにはサインしてくれるんだけど、大人にはねぇ…」
苦笑いとともにそんな思い出も。少しは元気になってきたようでよかった。

日本から来たファンの話では、フェルナンデスの急死で中止となった25日の試合にて、この年にイチローが通算3000本安打を達成した記念として、イチローモデルのバットが配られる予定だったとか。
球場で出会った日本人は、その多くがこのバットを目当てに渡米した方々だったようだ。
その中の1人であるIOさんによると、25日のチケットを購入すれば日本にも送ってもらえたという話だ。ワタシはマイアミに来て初めて知った…。
ちなみに、25日に試合が中止になったことへの措置として、このバットは当日のチケットがあれば改めて入手できたらしい。
「もしバットをもらえても、そんなの持ってたら飛行機に乗れませんよ」
「飛行機に乗るまで上着の中に隠して、あとは強行突破ですよ」
IOさんは笑いながらワタシに話してくれた。そんな冒険をする勇気はワタシにはない。

朝、ホテルを出るとき、実はいったん戻るつもりでいた。
しかし、気づいたら昼食の時間帯はとっくに過ぎていたので、近くのセブン-イレブンで昼食を調達。
ホテルには戻らず、この日のチケットを購入して球場のオープン時間を待つことに…。

あの人は流れ星のように… in マイアミ③」へつづく

(お出かけ日:2016年9月25日~9月30日)
※敬称略させていただきます。
※施設情報は2024年8月時点のものです。

  1. ロベルト・クレメンテ:1950~1970年代にかけて活躍したピッツバーグ・パイレーツの大スター。1972年、大地震に見舞われたニカラグアのため、救援物資を積んだ飛行機に自ら乗り込むが、この飛行機が墜落して死亡。翌年にアメリカ野球殿堂入り。積極的に慈善活動を行った選手に贈られる賞に今もその名を残す。 ↩︎

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