Kに教えてもらった「酒づくりの森」について調べているとき、マップアプリの某先生にて「酒づくりの森」近くに気になる施設が表示されていた。
その名も「秩父珍石館」。これはかなり興味を惹かれる名称だ。
もう少し詳しく調べてみると、とにかく人面石が並んでいるらしい。よくわからないが面白そうなので、これは行ってみるしかないでしょう!
海外からの取材も訪れる「秩父珍石館」
「秩父珍石館」は「酒づくりの森」から埼玉県道209号 小鹿野影森停車場線を使い、国道140号と合流する交差点に向かって車で5分ほどのところにある。
途中、ワタシのナビのミスで1本手前の脇道に入ってしまう。KがUターンしようとしていると、ワタシたちと同じように脇道へ入ってくる白い車が…。Kの車の動きを見て、白い車も県道に戻っていく。もしかして目的地が一緒なのか?
まさかねぇ…なんて思いながら正しい道に入ると、そこにはさっき見たばかりの白い車がある。そして、車から降りてきたのは「酒づくりの森」で見かけたカップル!?
今晩のお宿まで一緒かも、なんて話をしたらKから「『すぎの子』は若い子たちには無理だと思うよ」と冷静な答えが。古民家の「民宿すぎの子」は隣の部屋の声が聞こえることもあるという話だから、確かにそうかもしれない。
【秩父珍石館】基本情報
秩父珍石館
■住所:埼玉県秩父市上影森
764-6
■営業時間:10:00~17:00
■休業日:火曜日
■入館料:中学生以上 500円
小学生 200円 幼児 無料
■駐車場:あり
■電話:0494-24-7288
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建物は一見すると蔵のようだが、石の重さに耐えられるよう鉄筋コンクリート製なのだとか。
ワタシたちが館内に入ると、カップルを相手にかなりの勢いで石の解説をしている女性がいた。こちらが現館長の芳子さんのようだ。
事前の情報収集で見かけたのだが、「秩父珍石館」は芳子さんのトークがかなり楽しいらしい。
ときには図鑑を交えながら、カップルに対して石の解説をしている芳子さん、傍から聞いていても石についてかなり詳しいのがわかる。おまけにテンポがよくて面白い!
カップルが2階の展示室へ向かったところで、いよいよワタシたちが石の解説をしていただく番に。
芳子さんには主だった石の解説のほか、過去にさまざまなテレビ局の取材を受けたときのエピソードも教えていただく。「秩父珍っ石館」では日本国内だけでなく、海外のテレビ局の取材を受けたことも多いらしい。確かに人面石の中に、イギリスの公共放送BBCのスタッフが「ライオンキング」と名づけた石もあった。
また、武甲山についてもいろいろと教えていただく。
武甲山は山岳信仰のシンボルである一方、石灰石の大鉱床でもあるという。そのため、現在でも発破が行われ、山が日々崩されているのだとか。過去の写真を見せていただきながらだったので、山の形がどれほど変わってしまったのかが痛いほど理解できた。
「見る向きによって形が全然違う」という芳子さんの言葉に、これまで何気なく見ていた武甲山に複雑な思いを抱くようになった。
絶妙な石の名称に笑いがこみ上げる!
「秩父珍石館」にあるのは人面石だけではない。水石や化石まで本当にさまざまな石が並んでいる。
これらの石は芳子さんのお父さんである正二さんがこつこつと集めたものだ。
実はそれぞれの石に名称がついている。
これは「秩父珍石館」を訪れた人々が命名したもので、的を射ていてかなり面白い。名称を知ったあとで石を見ると、なぜかそう見えてきてしまうから不思議だ。
名札に書かれた文字から察するに、子どもたちが命名している石が多そうだ。石の名称を見て笑いながら、子どもの直感ってすごいもんだと素直に感心してしまった。
今は亡くなった正二さんが河原で石を探していたという話を伺って、ある漫画作品をふと思い出してしまった。そう、つげ義春の「無能の人」だ。
売れなくなった漫画家が新たな道を模索するものの失敗に終わり、多摩川の河原に小屋を建てて拾ってきた石を売りはじめ…という物語だが、内容やタイトルから正二さんと並べるのは失礼ではないかとワタシはさすがに思ってしまった。それでも我慢できずに「無能の人」の話をすると…、
「知ってますよ。このあいだ来たフランス人に教えてもらって読みましたから」
芳子さんはあっけらかんとしている。そこからしばらく「無能の人」の話で盛り上がってしまった。
博物館の2階にはテレビ番組「中井正広のブラックバラエティ」の「人面石くん」をはじめ、圧倒的な量の人面石が並んでいるのだが、撮影禁止ということなので写真はなし。ただし、来館者がつけた名前とともに石を見ると笑えるものばかりなので、ぜひご自身の目で確認してほしいところだ。
個人的にとても興味深かったのが、江戸時代に江戸城で将軍と謁見する際の大名や旗本の伺候席(控席)の一覧だ。
記憶があやふやな部分があるのだが、これはどうやら幕末期のもので、正二さんが譲り受けたものを2年かけて書き写したらしい。
個人的には仕事で馴染みのある高岡藩井上家の名前が最後のほうにあったのがなんだかうれしかった。
結局、ワタシたちは1時間近く滞在。何気なく訪れた「秩父珍石館」だが、かなり面白かった。
河原に転がっている石も、見方を変えればこんなに楽しめる。
「秩父珍石館」はまさに好奇心の結晶だ。
「年末は秩父の古民家で in 埼玉」一覧
①【手打そば 田中屋】舞茸の天ぷらを堪能!
②【秩父錦 酒づくりの森】酒造資料館で日本酒の魅力を再確認!
③【秩父珍石館】某テレビ番組の人面石くんがここに!
④【民宿すぎの子】激安価格でお鍋が味わえる!
⑤【秩父札所巡り】地獄の沙汰も御手判次第!?
(お出かけ日:2024年12月29日~12月30日)
※敬称略させていただきます。
※施設情報は2025年1月時点のものです。