「成城の先生のお宅訪問! in 山梨②「昇仙峡」~パノラマ台はパワースポットだらけ!?~」からのつづき
「犬神家の旅籠屋 in 長野① 佐久市立 天来記念館」でも記したように、ワタシは横溝正史が好きだ。
その気持ちが高じて、横溝正史が原作であり1976年に公開された映画「犬神家の一族」の撮影で使用された「井出野屋旅館」にも行ったのだ。
ただ、探してみると関東近辺にも横溝正史にまつわるスポットが他にもいくつかある。そのひとつが山梨県にある「横溝正史館」で、今回の旅行ではこちらにもお邪魔することに。これはうれしい!
ちなみに、同じく横溝正史が原作で1977年公開の映画「悪魔の手毬唄」の撮影は山梨県内で行われたとのことだが、場所が特定できないために訪れることは叶わず…。残念!
先生のお宅訪問の前にちょっと寄り道
「昇仙峡ロープウェイ」でふもとの仙娥滝駅に戻る最中に景色を見ているとき、近くにダムらしき施設があることにふと気づいた。
調べてみると、そこは「荒川ダム」というらしい。
実はワタシもKも隠れダムファンで、ドライブ中に「ダム」という文字を見かけるとかなりの確率で訪れてしまう。
ダムといえば山奥にあるイメージだが、ワタシたちが今いるのはまさに山奥。ダムがあっても決して不思議ではない。
「昇仙峡ロープウェイ」の仙娥滝駅から車で10分ほど。「荒川ダム」にはすぐに到着できた。
荒川ダム
■住所:山梨甲府市川窪町浦の山
972(管理事務局)
■見学:可能
※荒川ダム管理事務局への事前
申し込みが必要
■ダムカード:あり
■駐車場:あり
■電話:055-287-2006
笛吹川に合流する荒川の沿岸地域の水害防除、甲府市を中心とした地域の暮らしの向上を目的とした多目的ダム。過去に荒川は大きな水害に何度も見舞われた一方で、下流の河川改修工事は非常に困難だった。そのため、ダムによる洪水防御が最も経済的と判断され、昭和61年(1986)に完成した。
さて、「荒川ダム」に到着したものの、管理事務局はワタシたちが停めた駐車場の対岸にある。
管理事務局にたどり着くまでにダムの上を歩いていかなければならないのだけれども、ワタシたちは昇仙峡の山頂をさんざん歩き回ってきたばかり…。
ということで、「ダムっていいねえ」と眺めるだけで「横溝正史館」を目指すことにするのであった。
「横溝正史館」は小さな夢の世界だ!
「荒川ダム」から1時間ほどで「横溝正史館」に到着。
こちらの施設は「山梨県笛吹川フルーツ公園」のすぐ隣、景色のいい小高い山の上にある。
横溝正史館
■住所:山梨県山梨市江曽原
1411-6
■開館時間:10:00~15:00
※入館は14:45まで
■開館日:土日祝日(平日休館)
※年末年始(12月28日~
1月4日)は休館
■入館料:一般 100円
※中学生以下、70歳以上、
障碍者手帳を所持している
場合は無料
■駐車場:あり
■電話:0553-22-1111
(山梨市教育委員会生涯学習課)
昭和時代の推理作家・横溝正史が晩年まで執筆の場として使っていた約20坪の木造平屋を移築したもの。もともとは昭和30年(1955)頃、東京都世田谷区成城に建てられた。横溝正史の死後はしばらく使用されない時期があり、老朽化のために解体される流れになっていたが、関係者の尽力で平成18年(2006)に山梨市へ寄贈。寄贈されたものには自筆の原稿や横溝正史の愛用品なども含まれている。
なぜワタシがタイトルに「成城の先生」とつけたのかというと…横溝正史の「病院坂の首縊りの家」で本人をモデルにしたと思しき作家が登場し、その人物を作品の主人公であり探偵の金田一耕助が「成城の先生」と呼んでいたから。
「病院坂の首縊りの家」を読んだのは30年くらい前だけれども、なぜかそのことはずっと覚えていた。
山梨と横溝正史に深い関係はなかったものの、横溝正史は呼吸器疾患のために長野へ転地療養していた。
移動の際に中央本線を使っていたが、横溝正史は極度の乗り物恐怖症であったため、山梨市駅(当時は日下部駅)で途中下車。そのとき、笛吹川のあたりを散策していたといわれている。
施設にいたスタッフの方が説明してくれたとき、山梨と横溝正史との関わりの薄さを気にしていたようだった。
しかし、ワタシは関わりが薄いことなど気にしない。
あの横溝正史が実際にこの平屋で執筆していたと考えるだけで興奮が止まらないからだ!
ワタシが横溝正史の作品を読みはじめた頃、すでに本人は亡くなったあとであり、直接会うことはできなかった。それでも横溝正史の息吹を少しでも感じられて、うれしくてたまらない。
施設の奥には写真や映画のポスター、横溝正史の原稿などがズラリと並んだエリアが!
横溝正史本人の手による文字が並んだ原稿を見ているだけで幸せを感じてしまう。
展示物の中には今でも大好きな作品であり、ワタシが本好きになるきっかけを作ってくれた「犬神家の一族」だけでなく、横溝正史直筆の色紙も!
直筆の色紙に書かれた「謎の骨格に論理の肉附けをして浪漫の衣を着せましょう」。
この粋でサービス精神たっぷりの言葉…素晴らしい! ワタシはやっぱり横溝正史が大好きだ。
エッセイだろうか。「大衆は案外…」という作品は読んだ記憶がない。
そういえば「雪割草」も買ったままで、まだ読んでないんだよなぁ…。
建物自体は約20坪と決して広くはない。それでも横溝正史の世界がいっぱいに詰まっている。
うちから遠くないし、またいつか来たいなぁ!
ちなみに、横溝正史が雑誌「新青年」の編集長をしていた頃に挿絵を担当したり、横溝正史の短編「鬼火」の挿絵を描いたりと、横溝正史と非常に縁の深い画家の竹中英太郎の記念館も山梨県内にある。
実は山梨と横溝正史の縁は意外と深いんじゃないかと思う。
「横溝正史館」のあとは定番の「三枝農園」に寄ってぶどうを購入。こちらのぶどうはやっぱり甘くておいしいな!
ただ、「ひみね」を出てからここまで何も食べていなかったのでお腹がペコペコ。山梨といえばほうとう、ほうとうといえば「甲州ほうとう小作」ということで石和駅前通り店に行ってみるものの、どのくらい待つのかわからないほどの大混雑。
ならば某マップアプリの某先生に頼ってお店を探し、向かったのは「甲州ほうとう 百間」。こちらは塩山に本店がある「甲州ほうとう 完熟屋」というお店の支店のようだ。
こちらのお店のほうとうは具材もたっぷり入っているし、濃いめの味がしっかり染みていておいしい。
「甲州ほうとう小作」もいいけど、混んでいるときは他のお店も探してみるといいと思う。山梨にはほうとうがおいしいお店がたくさんあるんですからね。
ちなみに、なぜほうとうの写真がないかというと…あまりにお腹がすいて、ワタシとKの2人ともほうとうが出てきた瞬間に箸をつけてしまったから! 食べはじめてから気づいても遅い!!
旅行の最後にして、なんというオチなのかしら。
「成城の先生のお宅訪問! in 山梨」おしまい
(お出かけ日:2024年9月22日~9月23日)
※敬称略させていただきます。
※施設情報は2024年10月時点のものです。